T.F.W interview 5
2002年徳島県生まれ。’19年、高校在学中にモデルデビューし、パリコレで4ブランドのショーに出演。現在は雑誌・広告などで幅広く活躍中。今最も注目される若手モデルの平田かのんさんにTHAT’S FASHION WEEKENDのイメージモデルに就任して頂きました。
インタビュアー:菅野充/THAT’S FASHION WEEKENDプロデューサー
モデルになるまでの道のり
菅野:モデルになろうと思い始めたのは、いくつくらいの時ですか?
平田:仲良しだった友達が中学1年の時点で、「自分が何歳でどんな事をして、いつ結婚して、何の職業に就くか」というのをちゃんと考えていて、自分もちゃんと将来について決めないといけないなと、最初は彼女に刺激を受けました。そこから、自分が何をするかと考えた時に、他の誰も持つ事の出来ない高い身長を活かせる仕事を見つけたいなと思ったんです。クラシックバレエを習っていたので、宝塚に入るかファッションモデルになるかで迷っていました。
菅野:中学生の時には、すでに身長が高かったんですね。
平田:小学校を卒業した時点で170センチ近くあって、そこから更に10センチ伸びました。幼少期は、警察官になりたいとか、違う夢も持ってはいましたけど。
菅野:警察官ですか!それは珍しい夢ですね。ちなみにご出身はどちらですか?
平田:出身は四国の徳島です。中学生からは両親の転勤があったため大阪に引っ越しました。
菅野:お友達も凄いですよね、中学生から将来について考えていたなんて。
平田:そうですね、その子はパティシエになるのが夢だったので、製菓の専門学校に行って、留学して、結婚したい…というのをすでに決めていました。なかなかそういう子が周りにいなかったので、当時すごく尊敬していました。
菅野:今のモデルのポジションまでは、とんとん拍子で来たのでしょうか。メディアに書かれている事と、自分の実感との差はありますか?
平田:中学3年の頃からファッションに興味を持ち始めたので、宝塚ではなくてファッションの道を選びました。高校に入学してすぐに事務所とかに入る事もなく、もちろんモデルの仕事も出来なかったのですが、高校1年のお正月に以前所属していた大阪の事務所にスカウトして頂いて、そこからがモデル人生の始まりです。そこからパリコレを目指す番組に出演する事が出来たという感じなので、大阪の事務所に入ってからはとんとん拍子だったかもしれません。
菅野:スカウトは街中で?怪しいなとは思わなかったですか?
平田:そうですね。洋服を買いに行った時に街中を歩いていたら、「モデルやってますか?」と声をかけられました。ちょうど母と一緒にいたところに声をかけられたので、怪しいなとは思いませんでしたね。事務所に所属した当時は、モデルの経験なんて無かったのにいきなりオーディションに行く事になり、それでも無事に番組の出演権をゲット出来たのは本当に良かったと思います。
モデル 平田かのんさん
海外と日本で仕事をする中で感じること
菅野:今までのお話を聞くと、モデルになるために生まれてきた!という印象を受けます。日本人が海外で売れるためのビジュアルをすべて持って生まれて来ていますよね。
平田:自分の雰囲気としては、やはり海外の方が合っているかなとは思います。でも、中学生で大阪に来た時は、身長の高さについて周りの子にからかわれたので、すごく悲しかったです。今となっては、身長が高い事の魅力をもっと発信していきたいなという気持ちになりましたが。
菅野:撮影の時、とても格好良かったです!インスタとかももちろん拝見させて頂いていますが、実際にお会いすると迫力もあって格好良くて、どんどん色んな人が魅了されてブランドの広告などで活躍されていくイメージ沸きました。今回のお仕事を引き受けて頂いてありがとうございます!海外でも日本でもコレクションなどに出演されていると思うのですが、海外と日本とで感じる違いはありますか。
平田:バックヤードの話をすると、日本は色々な所がきちんと整備されていて、道ももちろんきれいに舗装されているので歩きやすいです。でも、海外にいくと「ここでメイクするの!?」と少し驚くような場所で準備をしたり、気持ちが安定しなかったりという事もありますがスリルもあったりで非日常感を味わえる楽しさがあります。
菅野:僕が小学生の時、ヨウジヤマモトやISSEY MIYAKE、コムデギャルソンなど、日本のデザイナーが海外で活躍していました。日本のファッション業界が牛耳っている!というくらいパリでブイブイいわせていて、そういう世界に憧れて今僕もこうやってファッションの仕事をしているのもあります。でも、今の若い人達は海外のファストファッションを選んだり、タレントの方が作っているブランドをSNSで見て購入したりというのが主流ですよね。かのんさんが舞台としているようなファッション界と、若者の興味の接点の無さを感じたりしませんか?
平田:学校でも自分のモデルのお仕事の話をしたかったけれど、私がお仕事をさせてもらっている分野については、同世代にわかってもらえないんじゃないかなとは思いました。
菅野:今回、コレクションやショーなどのステージで活躍されている方をイメージモデルとして選ばせて頂いたのも、若い方にファッションのこういう世界観を知ってもらいたいなという思いもあり、本記事でかのんさんにインタビューもさせて頂きました。若い子達が見ているファッション界と、僕達が憧れた見ていたファッション界にかなり違いを感じているんですよね。今後、日本から世界的なファッションデザイナーが出ないのではないか?と思ってしまって。そういう不安を持っていたりはしますか?
平田:今の若い人達は、自分の個性を表現するというよりは、万人受けする、みんなから可愛く思われるような物を選ぶので、他の人と差を付けようという気持ちを感じられないファッションだなとは思います。
「サステナブル × ファッション」について
菅野:今回のイベントはテーマが「サステナブル」です。具体的に言うと、売れ残った洋服を僕らが買い取って、ファミリーセールという形で販売するイベントです。ファストファッションを好む方々に、安い価格で良い物を、まずは「体験」してもらいたいなと思っています。かのんさんの中で「サステナブル」を意識している事はありますか?
平田:普段から気を付けているのは、食べ物を無駄にしない事。それが一番誰にでも出来る事でありながら、一番の問題点ではないかなと思うので。食べ物を買いに行く時も、見切り品を買ったりしますし、無駄に捨てる事が無いように気を付けるようにはしています。外食をする時も、食べ切れなさそうな時は先に店員さんに「量を少なめにしてください」とお願いして、残さないようにします。日本は豊かな国なので、食べ物も溢れていますよね。そこに甘えてしまっている部分はあるような気がします。食べるのもままならない貧しい国の人もたくさんいるので、そういうちょっとした事から意識するように心がけています。あとは、すごく庶民的ではありますがレジ袋を使わないとか。服を買う時も、「どれだけ着まわせるか」という事を考えながら、無駄にならないように買っています。
菅野:昔ニュースで見ましたが某ファストファッションブランドは、大量に作った服の半分近くが余ってしまった事もあったそうです。今回のイベントの趣旨は、余った服をうちが買い取って、普段ファストファッションを着ている人達に、良質なこだわりのある服を着てもらいたいという思いと、ファッション業界にもさらにサステナブルを取り込めたら良いなという狙いがあります。消費者が「サステナブルな物を買いたい」となれば、企業側がそれに合わせようとします。ファストファッションの世界では「大量生産、大量販売、大量廃棄」という流れもありますが、消費者が「それって良くないよね」と思ってくれれば、企業が変化していく。でも「服を捨てるな!」とか正論ばかり言うのは簡単ですが、自分は何もしないで言うだけって現場の方々に対してかなり失礼ですからね。あとは、かのんさんをご紹介したり、色んなブランドのサステナブルな取り組みや、環境省などの取り組み掲載したり、若者のファンをお持ちのマイナビさんやWWDさんと連携したりして、メディアとしても発信していきたいと思っています。会場イベントだけではなく、様々な角度から総合的にイベントとして盛り上げていけたら良いなと。
平田:服を売る側にとってもそうですけど、私達消費者にとってもこういう企画はとてもありがたいなと思います。ファストファッションを買う理由も、服にお金をかけられないという人もいると思うので、良い物を低価格で購入できるというのはすごく嬉しいですし、しかもそれが環境問題への取り組みに繋がる事なので、素敵なイベントだなと思います!
夢を抱く若い世代へのメッセージ
菅野:最後にこれからチャレンジしていく若い世代にメッセージをお願いします。
平田:何か本当にやりたい事があるのであれば、諦めずに突き進んで欲しいと思います。今の世の中、自分のやりたい事は諦めて安定の道に進んじゃおうという人もいるし、覇気のない人生を送っているなという人も見てきたので…。それはそれで良いのかもしれないけど、本当にやりた事があるのであれば、私だったら死ぬまでずっと頑張ります。今も自分の大きな夢はたくさんあるし、それを絶対叶えてやる!という感じですかね。
菅野:かのんさんの「大きな夢」とは?
平田:モデルの中でも色んなお仕事がありますが、大きな目標としては、モデルとして唯一無二の存在になりたいと思っています。この仕事は「平田かのん」じゃなきゃだめだよね!と言われるレベルのモデルになりたいです。努力を継続していたら絶対実る!ってずっと感じてきたので、私ももちろんこれからも頑張りますし、夢を持った他の若い世代の方達にも、継続する事をぜひやってみて欲しいなって思います。本当に私は、このモデルのお仕事が大好きで、「趣味も特技も仕事です!」って思ってしまっているくらい。仕事している時が、一番生きている実感があるので多少つらい事があっても、乗り越えられます。
菅野:本当に自分に向いている仕事に出会えている事が素晴らしいですよね。生きていく中で、そういった物に出会えずに死んでしまう人もいますし、やりたくない仕事をし続けながら、人生を終えてしまう人達もいるのに、その若さで自分の本当にやりたい事に出会えているというのはみんなの憧れなんじゃないかなと思います。
平田かのんさんのInstagram
https://instagram.com/kanon_hirata_?utm_medium=copy_link
THAT’S FASHION WEEKEND
https://thatsfashionweekend.com
