T.F.W interview 4
物質的なものだけではなく、心まで満たすことを追求した「ニュー・ラグジュアリーストア」。エストネーションはオリジナルアイテムを中心に、国内外から厳選されたブランドのアイテムをセレクトしています。
国内外から厳選されたブランドのアイテムをセレクトしています。今回は経営管理部部長有福啓様にインタビューさせて頂きました。
インタビュアー:菅野充/THAT’S FASHION WEEKENDプロデューサー
菅野:本日はお時間ありがとうございます!
まずは個人的な質問ですが、有福さんについてお伺いしたいのです。ファッションを好きになったきっかけとかファッション業界に進もうと思ったきっかけを教えてください。
有福:私の場合は今回の学生さん達みたいに少しとんがったお洒落をしてみたいというような、そこまでファッションに対してどっぷりではありませんでした。ただ周りに服が好きな友人がいた影響で自分も服が好きになりました。でもそれを仕事にしたいってほどでもなかったですね。もともとシステムエンジニアで7年間くらい働いてたので業界としては離れたところにいたんです。でもどこかのタイミングで案件ごとにシステムを作っておしまいというより、事業者側で働きたいって思うようになりました。そんな時にたまたま募集の一覧に前職のユナイテッドアローズのシステムエンジニアがあったんです。せっかく事業者側でやるなら自分の興味あることをやりたいと思ったので、思い切って飛び込んだという感じですね。
菅野:そうだったんですね、それは初耳ですし意外でした。そういう角度でファッション業界に入る方もいるんですね。
有福:そうですね。先日のイベントでも質問がありましたが、学生さんの中には経験者じゃないとダメなの?って思われる方もいると思いますが、全然関係ないところから入っているので大丈夫です。
菅野:なるほど。ではこちらに移られたきっかけをお聞きできますか?
有福:それは前職の上司でもあった大田がエストネーションのカンパニープレジデントになる時に声をかけてもらったという感じです。会社はすごく好きだったんですが、個人的には誰と働くかの方が優先度が高かったので、そのままエストネーションに来ました。
菅野:大田さんとは相性が良かったんですね。
有福:そうですね。口数は少ない方なんですが、個人的には一緒に仕事をしていて楽しい方です。
菅野:エストネーションさんは様々な施策をやられていると思うのですが、いつ頃から会社内でサステナブルという言葉が飛び交うようになったんでしょうか?
有福:エストネーションに入ったのが2018年なので、その時点でもう世の中にサステナブルという言葉は増えていたと思います。私個人が意識し始めたのは、前職のユナイテッドアローズが入った当時からSDGsをしっかりやっている会社だったので、今はどこもそういったことを意識してやっているんだなと認識していました。
本格的に意識しだしたのはここ数年自分たちが幼い頃にはなかったような異常気象が当たり前になってるじゃないですか。観測史上初という言葉を聞くのも当たり前というか。いよいよ自分の生活も少し意識しないとまずいと感じたのがきっかけですね。
エストネーション六本木ヒルズ店について
菅野:ブランディングという言い方が正しいか分からないですが、六本木ヒルズの店舗はインパクトがスゴイですよね!エストネーションを知るきっかけとして1番インパクトがあるのは六本木ヒルズの店舗かなと思うのですが、あれはどういった狙いがあるのでしょうか?
有福:そうですね、圧倒的なセレクト力を実現している店なので圧倒的な世界観を見せてブランド価値を保ち、お客様自身にもその世界観を体感して頂くところがポイントですね。おそらくですが、あれだけのスペースをうまく使う事は中々難しいと思うので、他にはない真似しにくい形態になっていると思います。
菅野:そこまでのことができるというのは何年もそういったことをやってきたからこそ実現できた事なんでしょうか?実現に至るまでに必要なピースは何だったと思いますか?
有福:まずはあの場所ですよね。もともとエストネーションがメインにしているターゲットや商品の価格帯が六本木近隣に住まわれている方の層とマッチしていることが今も継続できている理由だと思います。お客様が求めていることに応えるためのセレクト力はもちろんあると思いますが、その場に見合う商品をしっかり提供し続けることですかね。継続することで取引先からもぜひあそこでやってみたいって声が上がってきていて、良い関係になっているのではないかなと思います。
菅野:いや~誰もがあそこに商品置きたいですもんね。インパクトがスゴイです! 有福:そうですね。試したいっていうブランドさんもたくさんあったりするので、一部の場所でやってみてマーケットに需要があれば出店するっていうこともしているようです。
エストネーション 有福様
サウナランド × エストネーションの取り組み
菅野:最近また1個話題になっているのがサウナだと思うのですがこれは意外な取り組みと言いますか、見てる側はすごくワクワクしました。あれのきっかけは何だったんですか?
有福:あれはスタッフですね。メンズのVMDをやっているスタッフの繋がりです。六本木でイベントを定期的にやって集客していきたいっていうのはあるので、状況も状況ですしどうやって人を集めていくか考えながらチャレンジしていくっていう流れから生まれたものです。
菅野:高級なブランドを取り扱っているラグジュアリーなセレクトショップというイメージからワクワクするような企画まで入ってきて、それが交互に打ち出されていくとどんどん最強になるなと(笑)セレクトショップとしてすでに最強な立ち位置を確立していると思いますが、大衆的な流行り物まで話題として打ち出していくブランドになっていて見ていて凄いなと感じていました。今回のサウナみたいな、いわゆるお金を持っている層の方々にファッション以外の価値を提供することは今後もやっていく予定ですか?
有福:そうですね、面白いイベントは新しい開拓も含めて今後も定期的にやっていきたいです。マーケットがあるのであれば、定期的に扱っていくことも含めたチャレンジです。ただ、何でもかんでもイベントをやっていれば良いかと言われるとやはり利益が取れる事ではないので、そこはしっかり他のもので利益が取れるようになっているからこそできることではあります。まずは利益を取れる体制にするっていうのが1番やらなきゃいけないことです。ただ、面白くなくなったらもうエストネーションではなくなってしまうので、そこのバランスはかなり気を付けています。
THAT’S FASHION WEEKENDプロデューサー 菅野充
THAT’S FASHION WEEKENDに賛同した理由
菅野:なるほど。今後はどういったことが発信されるんだろうと思うと楽しみです!私達としては今回イベントに関わって頂けることが本当に有難いと思っています。ご賛同頂いた理由をお伺いしたいです。
有福:まずは最初シンプルに菅野さんがイベントを立ち上げたきっかけと同じで、自分達としても何か対策はないのか考えていたところにお話を頂いたのが最初ですね。
もちろん2次流通の業者からの在庫買い取りますっていう話はいくらでもあるじゃないですか。でもそれはブランドを育成する上でやらない選択をしてきていました。菅野さんの話を聞いた時にブランドにとってどうなることが1番理想なのかを背景にイベントに取り組まれていたので、そこが1番ポイントでしたね。同じ在庫を買って消費して頂くことの目的は変わらないんですが、その次に何が狙いとしてあるかっていうところの繋がりが1番共感できた部分なので、だからこそ会社に提案したときも賛同してもらえたのだと思います。内情を知って在庫買い取りだけじゃないコンセプトがあったことがポイントだったかなと思います。 菅野:実は僕ビビってまして、全てのアパレルブランドさんがこのイベント微妙だなと感じ、協力してくれなくなったら何もできなくなってしまいます。正直その恐怖に怯えてはいますね(笑) 有福:乗っかる形で申し訳ないですが、そういう背景があるイベントだからブランドとしてもプラスではないかという説得も内部にしやすいというか。変に広告費をかけなくてもセントラルのような取り組みも知ってもらえるっていうか。ありがたい機会だなと思いますね。
社内でどういう取り組みをするっていうのはもちろんありますが、外に向けての行動って難しいじゃないですか。どこかと一緒にSDGsな取り組みもしているって中々できてなかったんですよね。会社の中にもただサステナブルな商品を出してますとかハンガー回収してますとか、それだけじゃないこんな取り組みもやってるのね、という示しにもなるので。 菅野:今回イベントをやるにあたって取材をさせて頂く事にしたのは、各ブランドさんの素晴らしい取り組みを消費者の人達にもっと伝えていく事ってできるんじゃないかと思った事が理由でした。というのも参加していただくブランドさんのことは知らなければと思い、こっちから情報を取ろうとしているんですが、調べて行くと皆さんたくさん素晴らしい取り組みをされていて。それでせめてこのイベント来る1万人、興味を持ってサイトに飛んでくださる方々にはその取り組みを知ってもらいたいという思いで情報発信する事にしました。
ファッション業界の次世代に伝えたいこと
あとはもう一つ若手支援っていう部分で大学生との取り組みをどんどんやっていきたいなと思いますが、エストネーションさんとしてはどのように感じますか?
有福:そうですね、、やはり今こういう状況にいて中々積極的に採用活動ができいないので、ネガティブな印象を与えている部分はあると思います。せっかく夢を持って入っていこうとしているのに明日どうなるか分からない会社になってしまうとなかなか積極的に採用できないことになるので。ただそれって単体でどうにかなる話じゃないですよね。業界としてまだまだ盛り上がっていけるし、楽しい業界だよっていうことはもっと伝えていきたいです。そういう意味でこういう形の取り組みに協力させてもらいながら結果採用にもつながっていけば良いなと思っています。あとは会社自身もだいぶ年齢が上がってきています。今後若い方を維持し、若い方をどう残していくかは業界として課題だなと感じますね。新しい人に対して最初は大変だけど楽しい業界なんだよっていうことをもっと伝えていかなければいけないと思っています。
菅野:有福さんも中途でエストネーションに来られたと思いますが、ある程度アパレルで働いてある程度内情が分かっている人に来てもらった方が企業としては楽じゃないですか。それでも若い人に入ってもらいたいっていう気持ちはあるものですか?
有福:もちろんです。やっぱり生え抜きメンバーがある程度いないといけないと思っているので、新入社員として入って販売で経験を経てから会社をどう成長させるかを考える人間は必要だと思います。
菅野:なるほど。あるブランドさんは中高生をターゲットにしているので、中で働いている人の年齢層が10代後半~20代前半だったり、デザイナーも派手な若い子という会社がありました。エストネーションさんが扱われている商品を考えると、若い人たちがどういう風に活躍していけるのかな、大人の気持ちわかるのかなとか、お金持ってる人の気持ちわかるのかなとか、ちょっと疑問に思いましたがいかがでしょうか?
有福:もちろん常連のお客様に対して入りたての人が接客すべきかと言われるとベテランに接客してほしいっていうお客様もいらっしゃいます。ただ憧れのブランドを少し背伸びして買うっていう方もいると思うので、そういう方と同じ立場で話すっていう意味でも若い層が必要かなと思います。そうしないと会社がただ年を取っていって本部の人間もお客様も年を取っていって1番のメイン層から離れていってしまうので会社として必要なことですね。
サステナブルを実現する事と利益を出す事は対極にあるのか
菅野:確かにそうですね、まあでも日本全体が高齢化しているので何とも言えないですね、、最後になりますが、今社会的な方向としてサステナブルを実現していく方に向かっている中で、利益を出していく事とサステナブルを実現する事は対極にあるように私は感じています。エストネーションさんはそこの難しさをどんな風に考えていますか?
有福:そうですね、個人的な考えになってしまうんですが、サステナブルっていろんな意味があるじゃないですか。世の中的なイメージだと「捨てない・リサイクルする・環境破壊しない」とかだと思うんですが、そういうことをメインに利益を出すことは難しいっていう感覚ですね。でも持続っていう意味では会社や従業員を維持することも同じ意味として捉えなければいけないので、まずはそこをしっかりやって利益を出せる会社にしていく、納得いただける商品を作っていく。その先に環境破壊しない取り組みって何ができるの?っていうことがあるのかなと思っています。背伸びしてそっちの目的が先行してしまうより会社として何をしたいかがベースにあってその延長でサステナブルに繋がるものがあればと思います。先に考えを持ってきてしまうと何もできなくなるなという感覚がありますね。
菅野:本当そうですね!まずはちゃんと利益をだして会社を継続していくっていうことがどれだけ大変で大切かということは私も身を持って感じています。アパレル業界を次世代に繋いでいく為に必要な考え方ですね、すごく共感しました。本日はお時間ありがとうございました!
ESTNATION
https://www.estnation.co.jp/
THAT’S FASHION WEEKEND
https://thatsfashionweekend.com
