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T.F.W interview 1
環境省 「ファッションと環境」 タスクフォース -後半-

【サスティナブルな社会を作るために】

菅野:本当はサスティナブルをファッションだけでなく、様々な角度からお話したいと思っていたんですよ。なのでこのような大きなテーマで話せる事は非常に嬉しいです。

例えばコンビニエンスストアの販売員が自動化により必要なくなっていき、雇用がファッションに限らず減っていった時、社会全体での仕事が少なくなりますよね。

ある企業の例ですが、売り上げはあるのに利益率が低いためにできるだけ人件費を削減したいと考えていた中、コロナ禍のタイミングでアルバイトに辞めてもらって社員だけで回せるように仕組 みを作り利益率上げる事に尽力をつくしたという話を聞いたことがあります。

まずサスティナブルを実現させるためにも自分たちの経営状況を整えて、自分たちが生き残ることを優先せざる得ないと感じました。

岡野:そうですね。サスティナブルって環境だけでなく企業や社会の持続可能性というところにも繋がるものでなければならないんだと思っています。コストを減らして、人を雇わなくすることは短期的には必要だとは思うのですが、手間を増やして品質の良い物、環境にも良い物を作って価値を生み出す、しっかりと給料を払うことで購買力が上がることに繋がるというのが理想ですね。

ファッションはそういった課題が凝縮する一方で、可能性もものすごく大きい。なので、サスティナブルに関心の高い企業が増えてきているのだろうと思います。

コストを安くし価格をさげるために、日本で売られている服の98%が海外で生産されるようになった結果、国内の繊維産業が空洞化してしまった。大量生産は国内の産業だけでなく購買層を弱くしていて、結果として低価格でないと売れないという悪循環を生み出していると思います。これらを逆転させなければいけないって思ってるんですよね。って、これ環境省じゃないですね(笑)

「ファッションと環境」タスクフォース リーダー岡野さん

【伝統工芸品に秘められた可能性】

菅野:確かに(笑)

国内産業の話でいうと、例えばHermèsって職人さんがバックを作りブランディングして高く売るじゃないですか。その結果銀座にビルが建ちました、みたいなのがヨーロッパのハイブランドの状況ですけど、日本の伝統工芸品ってもっと手間がかかっていて質が高いと思うんですよね。

それなのに後継者を雇うことも難しいほど苦しい経済状況なのは、職人さんが物を安く売ってブランディングにあまり目を向けてこなかったからだと感じています。

例えば伝統工芸品をブランディングしたとして海外で高額販売することによって、後継者を雇うことができたり国内の産業が盛り上がるきっかけになったら素晴らしいなと考えています。

日本人がAppleやAmazonを使うことで豊かになるのは日本ではなく、アメリカなので(笑)

これから日本が海外で勝つためにはITでも最先端技術でもなく、絶対に負けないmade in japan で勝負するしかない。と感じたときに伝統工芸品や日本酒をブランディングしていくことが必要 なのではと考えています。すでにやられてる企業さん多いですけど。

これは岡野さんが先ほどおっしゃられた「逆転させる」っていうのと一緒ですよね。

今回はファッションにフォーカスしてやっていますが、今後ファッションだけでなくて国内産業 を盛り上げていきたいです。すみません、ちょっと脱線してしまいました、、(笑)

清家:いやいや!環境省はもともと地域目線で仕事をしてきた役所なので、今の話は私たちが行なっていることに近いと思います。伝統工芸品は地域にこそ歴史があって残っているものなので、地域が元気になるっていう意味でも大事ですね。

岡野:実は環境問題を改善するのは地産地消なのではないかと思っているんです。海外に依存している1番代表的なものは化石燃料なので、それを国内の再生可能エネルギーで代替できればお金は外に出ていかないし仕事も作れると考えると、いかに自立分散型の社会を作っていけるかが鍵になっていくのではないでしょうか。

例えばイタリアでは地域ごとのワインやチーズがあって、地元の人は地元のものが1番だと思っている。そんな地域の誇りみたいなのは憧れますよね。日本にもいろいろ誇れるものがあったはずなのにそういったものが失われていっているので、今ある伝統工芸品は大事にしていかなければと思います。日本で作ったものにもっと価値をもたせて自分たちが使うことはもちろん、それを海外にも出して行きたいです。

地方の里山の風景は伝統工芸品によって守られていたものが確かにあったので、日本の原風景が伝統工芸品によって守られたりそれによって地域の誇りが生まれたり、そういうのは最高だなと感じますね。

清家:例えば食の場合も、海外から輸入した肉を使った安いメニュー店に比べると国産の肉を使ったメニューは値段が高いですが、でも国産のものには高い値段を払うだけの魅力と地域のストーリーがあって、それを選ぶ消費者も沢山いるので、ファッションも地域目線でっていうのは とても大事だと思います。

【THAT’S FASHION WEEKEND開催のきっかけ】

菅野:そうなんですよね。国内産業が今後サスティナブルに変わっていく時に、生活者が良いものを選ぶ価値観と企業が良いものを提供する事のどちらが先なのかと考えると生活者の価値観が先な気がしているんです。企業がいくら良いものを提供していても生活者が安くて手軽な物を選ぶとなると企業として成り立たなくなってしまいますよね。生活者の意識が変わることでそこに企業が合わせざるを得ない状況になればと思っていて、だから今回生活者向けのイベントを作って開催することにしたんです。

岡野:我々のホームページも企業と生活者が一緒にやっていきましょうという作りになっていますが、今回のイベントはそれに賛同する企業を口説かれているわけじゃないですか。企業が変われば生活者も変わるし、生活者が変われば企業を変わる。大事なのはその相乗効果ですよね。

「ファッションと環境」タスクフォース 河村さん

【環境省が考える実社会との関わり方】

菅野:そうですね。環境省は私たちのような民間のイベントや企業の活動に賛同して、ご一緒するという活動は積極的にやろうとしていることなのでしょうか?民間のイベントや企業との絡み についてどのように考えられていますか?

岡野:それはもちろん積極的にかかわりたいと思っています。私たちは、社会経済にコミットしていくのにビジネスや民間の方々の動きがなければ何も出来ないんですよね。そういった意味で 民間企業の取り組みとの関わりを出来るだけ増やしていきたいという気持ちがあります。

もちろん法律などのルールづくりも必要になりますが、先導的に頑張っている企業やイベント を応援しながら、いい方向に変わっていった時にルールにしていく。そんな形が良いんだろうな と思っています。なので民間の取り組みはすごく重要ですし、連携できるところはぜひ連携させ ていただきたいと思っています。

菅野:ありがとうございます!今回イベントの目玉の1つとして”若手支援”もしっかりやっていき たいと考えています。既にサスティナブルな活動を積極的に行っている学生にも参加して頂いてい て一緒に準備を進めています。

例えばファッションメディアとして発信している早稲田大学の”Rethink Fashion Waseda”や150 名以上が所属する慶応義塾大学の”Keio Fashion Creater”、自分たちでいらなくなった服を回収 し、アップサイクルした服を作り販売している上智大学の”carutena”など、大学で勉強する傍ら サスティナブルファッションを世に広めようと活動している学生団体がたくさんあるんです。

何度か話をする機会を設けているんですが、やっていることが立派すぎて引いたというか、「何だこの学生たちは、、」と衝撃を受けました(笑)

ぜひこういった学生とも関わりを持って頂けたらなと思いましたし、学生たちは環境省との取り組みも行いたいと話していたので、このイベントがきっかけとなれば良いなと思っています。そういった部分でも力を貸して頂ける可能性はありますか?

岡野:それはもちろんです。コロナ禍でなければ、みなさんと交流したいくらいですね。私たちもそういったディスカッションは求めていて、やはり内側からでは分からないこともありますしそ んなにファッショに詳しいわけでもないので、、、(笑)

そういったコミュニケーションは大事だと思っているので、コロナが明けたら皆さんで集まって話 ができる機会を作れたらいいですね。

菅野:ぜひお願いします!

発信力を持ってる企業がSDGsのコーナーを開設したり、サスティナブルなイベントを開催していたり、すでにサスティナブルに意識を向けた世の中になってきていると感じます。そんな中で環境省のお墨付きっていうのはすごくインパクトがあるんです。

環境省がサスティナブルファッションを運営していることは、世にサスティナブルを広める上で凄く後押しになっていると感じていますし、サスティナブルと一番イコールなのはやはり環境省だと思います。なので、今回関わって頂けてすごく有難いです。

岡野:いやいや(笑)今まで私たちはファッションに触れてこなかった自覚があるので、、環境省がファッションに参入したのってほんとにここ1年なんですよね。そんな感じで環境省がお墨付きになるのか分かりませんが、そう言っていただけると嬉しく思います。

菅野:実際なってるんですよ!私たちは来年以降もサスティナブルなイベントの開催はもちろん、メディアとして運営もしていきますし、学生たちがアップサイクルして作った作品を販売していければと思っています。これは学生にとってもチャンスになると思うんです。

岡野:それ凄く良いですよね、ただの売れ残りがディスカウントされてるだけじゃない価値観をぜひ作って頂きたいなと思います。それが新しい価値を持って逆に高く売れるくらいの、そうなっていくとすごく面白くなるなと感じますね。

菅野:まだまだ模索中ですが、どうしたらもっともっと意義のあるイベントにできるのか日々考えながら作って行きたいと思います。

この度は長時間ありがとうございました!

左から
金井塚彩乃さん 環境省ファッションと環境タスクフォースメンバー/大臣官房総合政策課
菅野充 THAT’S FASHION WEEKENDプロデューサー
岡野隆宏さん 環境省ファッションと環境タスクフォースリーダー/自然環境局国立公園課国立公 園利用推進室長
河村玲央さん 環境省ファッションと環境タスクフォース副リーダー/自然環境局自然環境計画課 生物多様性主流化室長
清家裕さん 環境省ファッションと環境タスクフォース副リーダー/大臣官房秘書課課長補佐

環境省のサスティナブルファッション

https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/

THAT’S FASHION WEEKEND

https://thatsfashionweekend.com

インタビュアー:菅野充/THAT’S FASHION WEEKENDプロデューサー

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